著者: 成毛眞(なるけ まこと)
タイトル: 日本人の9割に英語はいらない(637円)
出版: 祥伝社(2011年9月)
ジャンル: 英語教育 ビジネス英語
▶️Kindle版(450円)

成毛眞は1955年北海道生まれ。中央大学卒業後、自動車部品メーカーや株式会社アスキーなどを経て、86年Microsoft株式会社に入社。現在、投資コンサルティング会社の取締役ファウンダーのほか、早稲田大学客員教授なども務める。(プロフィールより一部抜粋)

この本が発売された頃、ツイッターを中心にネット上で話題になっていたのは知っていたが、関心はあったものの先日ようやくKindle版を購入してみた。
アマゾンでのレビューはほんとに賛否両論に意見が分かれている。わたしは全体を読んでみて、同意できる部分とできない部分があった。星をつけるとしたら3つかな。

▶️頭の悪い人ほど英語を勉強する

こんな挑発的な見出しで始まる。中学高校の英語授業の合計数は910時間もあるのに、社会人になってビジネスの場面で役立たない、海外旅行に行けば何の役にも立たないと言う。その原因として、

  • 文法を重視しすぎる
  • 教師の質、教え方が悪い
  • クラスの人数が多すぎる

の3点を挙げている。ここは同意。中高生の英語を教えるようになってもう15年ほど経ったので、学校英語にも慣れてきたが、教え始めてすぐは、特に高校や私立中高の英語の授業は何を教えたいのかさえ意味がわからなかった。英語初心者に内容のない文法重視をした教え方をして、何が面白いのかと疑問に思った。確かに910時間無駄にしているのかもしれない。
著者は始終、英語は暗記科目で英語が得意科目だと答える人や、英語が得意と自慢している人について、「自分は物覚えがいいだけのバカだと公言しているのだ」と書かれているが、これには同意できない。教科書やプリントの文章丸暗記のテストをしている学校もあるが、単語を覚えるだの、構文の型を覚えるだの、国語と同じことである。単語を覚えて型を覚えるだけで「わたしは英語が得意」と思っているのなら、それはほんとうにバカだけど。要は、覚えた単語と型を自在に運用できるかだ。得意と言う人はここまでできているはずだ。

▶️何のために英語を勉強するのか/本当に英語が必要なのは1割の人

中高生で将来のビジョンを描いている生徒は少ない。彼らにとって英語は、本書にも書かれているとおり、いい成績を取り、受験に合格するためのものである。
成績も受験も必要の無くなった大人たちは、なぜ英語を勉強しているのだろう。著者の考える英語はすべてビジネスを想定して書かれている。だから英語が必要な1割の人というのも、ビジネスマンやサービス業の人たちだと言っている。英語教師はALTを雇うので肩身が狭いと言っているが、ALTはその名の通りアシスタントに過ぎず、今の英語教育方針では日本人の教員免許を持った英語教師が中心だ。

▶️「英語ができない日本人」というデータに騙されるな

1999年のTOEFL平均点ランキングが資料として出されている。日本は北朝鮮と並んでアジア最下位らしい。いや〜、1999年のTOEFL平均点がランキングにされるなんて当時は思いもしなかった。高校生だった当時、TOEFL受験が学校から強制させられ、2回か3回ほど受けた記憶がある。TOEFLを受けるからと勉強するわけでもなく、問題文もそんなに読んでいなかった。紙の試験からコンピューターで受けるスタイルになって、問題文を最後までスクロールせずに答えをマークしようとしたら、「最後まで読め」エラーが出てビビった(笑)。ライティングは好きだったので、ライティングはかなり力を入れて書いたのを覚えている。日本の平均点を下げてしまったようです、ごめんなさい。

▶️早期英語教育は無意味である

成毛氏の考える早期英語教育とは「良い発音」という点しか重視していないのだそうだ。レベル低すぎて滑稽だ。早期英語教育をさせている親御さんで、良い発音を身につけさせることのみを考えている人がいるなら会ってみたい。いないだろ〜。

▶️真の教養とは何か/日本の官僚がお粗末なのは、悪しき受験制度が原因

この2項目については激しく同意。ぜひ読んでほしいページ。

▶️日本人はなぜ思考を磨けないのか

アメリカの大学の講義の仕方と日本の大学の講義を比較している。アメリカでは教授が教科書を使わず熱弁を振るい、生徒と議論するが、日本は生徒が出席していなくても代弁して済まされたり、寝ていてもお咎めなく授業が進むということが書かれている。この教育/学習スタイルはすでに小学校から始まっているので、小学校から変えないといけないだろう。何を変えるのかといえば、教師と評価方式だろう。この項目より前に、「大人の時間は、子供の時間以上に貴重だ」と書かれているが、思考を磨くには子供の時間こそ貴重である。

▶️英会話を習うより、本を読め!

成毛氏おすすめの本が12冊紹介されている。何冊か読んでみたい本がある。
それにしても東大に入るような人はマルチに頭がいいと思っていたけど、本を読まないんだね。以前も国語教育や国語力についてネットで調べているとき、東大志望の人が国語の成績を上げるのに親や先生から本を読めと言われたが読みたくないと書かれていて、それに対して東大生か読書と国語の成績は関係ないから読む必要はないと答えていた。そんなものなのか〜。

日本国民に英語を学ばせ、アメリカ資本のものを受け入れさせることで、日本人を侵略していると考えておられるようだが、日本人もそこまでバカじゃないよね。外国語は学ぶべきである。英語はもちろん、敵国と感じている国の言語こそ学ぶべきだと思っている。